Class[アカウティング]

今回のケーススタディは、企業の粉飾を見抜く方法。と言っても実質的な粉飾決算は見抜けないわけで、どれだけグレーな部分を黒くするかというのがキーワード。基本となる考え方は経営者の裁量的な部分である会計発生高の概念。キャッシュフローは将来や過去のPLの橋渡し的な印象を持ちました。会計発生高の捕らえ方は、そのスカラー部分とその変化(ボラティリティ)のようです。会計発生高が単純に低いだけでは意味がなく、そのボラティリティの変化がある程度意味を持っている。ここからは自論ですが、おそらく加速度的な部分をかなり重視しないと見誤る可能性を大きいようです。運転資本による分析においても現金回収日数だけでは、意味がなく、やはり棚卸資産や売上債権のボラティリティが重要になってくるのかもしれません。

株主資本コストと会計発生高との関係性にはやはりこのボラティリティがかかわっているような気がしました。つまり会計発生高のボラタイルな変化がリスクプレミアムを上昇させ、資本コストを増大させるのかもしれません。

また株主間の情報の非対称性が会計発生高によって説明されるというのは通常議論されることですが、実質的に会計発生高を見抜ける優位な株主は市場においてそれほど多いとは思えません。以前から不思議間を持つのはエージェンシー問題に時系列性を伴わないのかです。マルチにプリンシパル(株主)が存在するケースにおいて、ランダムにエージェンシーの情報量(エントロピーともいえる?)は変化しています。その情報量がエージェンシーコストの時系列においても影響を与えることが十分に考えられるはずです。古典的なエージェンシー問題は(エージェンシーによって)常にだまされつづける問題とも考えられます。

ちなみに負債側についても同様の議論が行えます。つまりメインバンクとサブバンクでの情報量格差や社債投資家と銀行と。ただ負債と会計発生高が理論的にまだ説明されていないというのはちょっと意外でした。